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発表を目前に控えたメルセデス・ベンツの革新とも言えるCLA。
当のメルセデスもF1メルセデスAMGペトロナスの新人ドライバー、キミ・アントネッリを迎えてプロトタイプの試乗動画をアップするなど、メルセデスの力の入れようからもCLAの期待の高さが伺えます。
今回はそんな発表前のCLAの気になる情報を、できる限り紹介しますので一緒に発表・発売を楽しみに待ちましょう!
まずはコンセプトモデルをおさらい
まずは2023年9月に登場したCLAのコンセプトモデルをおさらいしましょう。
ドイツのミュンヘンで開催されたIAAモビリティ2023に登場したコンセプトCLAクラスは、メルセデスブランドの旗艦モデルとなるようなビジョンを掲げています。
CLAコンセプトの概要
今回の新型CLAは、EVを第一に掲げた新型MMAプラットフォームに基づいて設計されています。
先行発表された2023年当初は「4ドア クーペ、シューティングブレーク、2つのSUV」の合計4つのモデルと構成されると発表していました。
そして航続距離は750kmと飛躍的に伸び、超高速充電であれば15分で最大400kmの走行が可能となっています。
洗練されたデザイン
エクステリアはメルセデスの象徴でもあるスリーポイントスターを照明モチーフとして全体に採用し、印象的なヘッドランプが造形されています。
インテリアはコンセプトモデル然としていますが、究極のモダンさを感じさせつつ、シンプルでありながら力強いデザインとなっています。
進化したMBUXと子ども存在検知システム
「Hi、メルセデス!」の声かけや操作で、ドライバーの行動を学習するインフォテインメントシステムMBUXがさらにパワーアップしMB.OSとなります。
MB.OSはシステムオンチップによって駆動される人工知能と機械学習を可能にしました。高度なセンサーとメルセデス・ベンツのインテリジェントクラウドによってサポートされています。
このMB.OSで特筆すべき点は、子ども存在検知システムです。
特徴的な呼吸パターンから車内に子どもがいることを検知すると起動します(新生児の呼吸でも作動)。
エンジンがオフになった時、駐車中の車内に子どもがいるとすぐドライバーに警告が流れるようになっています。
また車内の温度も監視しており、温度が危険なレベルを超えると以下のシステムが作動します。
- 車外のライトが点滅し、音響信号が鳴り周囲の人に危険を知らせる
- 車のエアコンが作動し、車内の温度を危険ではないレベルまで下げる
- 車両に登録され、同じメルセデス・ミーアカウントに接続されている全てのスマートフォンに警告メッセージが痩身
- 最終的にSOSコールでメルセデス・ベンツコールセンターに通報するか、緊急サービスに通報
意図的に子どもを車内に放置するなんてことは言語道断ですが、忙しい送り迎えなどでついうっかり(ついうっかりでは済まないのですが)子どもが車内に取り残されるという痛ましい事件がたびたび報道されています。
年々暑くなる日本にもぜひ欲しいこのシステム。量産車にも搭載されるといいですね。
注目度ナンバー1! 伸びすぎた航続距離
新型CLAは、メルセデス・ベンツのEV車において革新的な位置付けとなるでしょう。今回電動ドライブユニットは完全に自社開発し、4WDモデルには前輪にDCUが搭載されています。
800Vシステムは効率と性能を最大限に高めることによって、充電時間の大幅短縮に成功しました。
「電気自動車も興味あるけど、結局ねえ〜」なんて声もよく聞こえてきますが、そういう人に何がネックか聞いてみると、だいたい『航続距離』『充電時間』『充電スタンドの不足』が挙げられます。
ですが、新型CLAは最初の航続距離と充電時間の悩みを一気に解決してくれるのです。
というのも、新型CLAはなんと最大300kmの走行距離を10分以内に充電することができるからです。また、1回の充電で750km以上走行できるようにもなりました。
そして、従来は過去のデータに依存していた航続距離計算はエレクトリックインテリジェンスにて計算されます。
地形、ルート、周囲温度、速度、暖房と冷房、計画されたルートの交通状況、利用可能な充電ステーション、その容量、支払い機能などの要件がすべて考慮されるだけでなく、計算はクラウドで行われ、車載データと組み合わされます。
そのため、必ずしもすべての充電スタンドで完全に充電する必要はありません。状況によっては、1回の長時間充電よりも2回の短時間充電のほうが効率的な場合もあります。
このようにエレクトリックインテリジェンスナビゲーションシステムによって、自動的に全体の移動時間とルートを計算して急速充電が最適化されるのです。
前述にて『充電スタンドの不足』を挙げましたが、航続距離が飛躍的に伸びることでこのネックも解消されるのではないでしょうか?
また、航続距離だけでなく充電時間が短縮することによって、いままでEVにあと一歩踏み出せなかった層もこぞってEV車に乗り換えるかもしれません。
そうすれば、「卵が先か鶏が先か」ではありませんが自ずと充電スタンドも増えることでしょう。そんな未来も楽しみですね。
プラットフォームも刷新
今後発売されるプラットフォームMMA(メルセデス・ベンツ モジュラー アーキテクチャ)モデルの新世代電動ドライブユニット(EDU2.0)は、800Vシステムとシリコンカーバイドインバーターを備えています。
さらに特徴的なのが、完全にメルセデスが社内で開発した後輪に永久磁石動機オーターを備えたコンパクトな200Kw電動ドライブユニットです。
このMMAプラットフォームは、EVと内燃機関の両方に対応し、4WDモデルも用意するとのこと。
内燃エンジンは、新開発の1.5lのメルセデス・ベンツ4気筒ガソリンエンジンです。
電気モーターとインバーターは、新しい8速デュアル クラッチ トランスミッションに統合されました
当初は今後のプラットフォームの開発をEVのみとアナウンスしていたメルセデス・ベンツですが、2035年までのEV目標を下方修正した影響がここにも出ているようですね。
特徴的なスタイリング
筆者が2019年の東京モーターショーで、メルセデス・ベンツのコンセプトカー『VISION EQS』について、アドバンスド・デザイン シニアマネージャーのホルガー・フッツェンラウブ氏にインタビューさせてもらった際、とくに彼が力説していたのがヘッドライトのデザインでした。
その強い意志は2025年の新型CLAにも届いています。
先行公開されたヘッドライトには、メルセデス・ベンツの象徴でもあるスリーポインテッド・スターが堂々とあしらわれ、スポーティかつモダンな外見であると同時に夜間に道を強く照らす設計となっています。
2025年1月15日現在の時点では、新型CLAについての公式画像はすべてカモフラージュされたものとなっています。
しかし、流れるようなボディラインとスポーティなホイールデザインなどから、おそらくスタイリングにもかなり期待ができるでしょう。早くカモフラージュの取れた姿が見てみたいですね。
新型CLAのまとめ
2025年1月28日現在での、新型CLAに関する情報についてお届けしました。
まだまだ「1番大事な販売価格はいくらなの!?」「結局いつ発売なの?」「コンセプトCLAの機能はどれだけ量産型にも採用されているの!?」と知れば知るほど気になることが出てきますよね。
今回の新型CLAの航続距離は目を見張るものがありますが、販売価格もなるべく抑えるなんて噂もありますので、CLAが市場に導入され広がっていけばEV車の今後の流れも変わるかもしれません。
新型CLAはメルセデス・ベンツだけでなく、今後の自動車業界に変化をもたらす1台になる可能性を秘めています。もしかしたらアライアンスのような立ち位置になるかもしれません。
あるいは、NMKV(日産と三菱の軽自動車専門企業)のように、車を共同開発する企業を新たに作る可能性もあるのではないでしょうか。
ぜひ続報に期待しましょう!
昨今、輸入車メーカーも各社かなり複雑な関係を築いています。先の日産・三菱のニュースも含め、日本の大手メーカーも今後どのような動きをするか注目したいところですね。