[外車あるある]左ハンドルのメリット・デメリット
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一昔前は「外車といえば左ハンドル」といったイメージがありましたが、昨今ではめっきり見かける回数が減りました。
それもそのはず、今やの新車外車のうち左ハンドル仕様車はわずか5パーセントほどなのです。
なぜ左ハンドルの外車は減ってしまったのか、そして左ハンドルの車のメリット・デメリットについて詳しくみていきましょう。
左ハンドルの外車が減った理由
日本で外車を購入する場合、ディーラー車においては今や右ハンドル仕様しか選択できないという車種も増えている外車。左ハンドルがここまで減ったのはどのような理由があるのでしょうか。
製造技術が発展した
ハンドルの左右を入れ替えるためには、単純にハンドルの取り付け位置を変えればよいというわけではありません。アクセルやブレーキの位置、それらに繋がるケーブルの位置なども反対にしなければいけません。
運転制御システムが機械式だった時代は、右ハンドルに付け替えるとケーブルが湾曲してしまうなど、操作性に影響を与えることがありました。しかし自動車製造の技術が発展し、ケーブルを介さない電子制御に置き換わると、左ハンドルと右ハンドルの入れ替えはさほど大変なものではなくなりました。
日本では右ハンドルの方が運転しやすい
左側通行の日本では、右折時の見渡しが良く車線変更もしやすい右ハンドル車の方が圧倒的に運転しやすいです。
また、駐車場で駐車券を取ったり、ドライブスルーを利用するときも、右ハンドル車での通行が前提の配置となっているので、右ハンドル車の方がスムーズに動作できます。
「左ハンドル=ステータス」という認識が薄れた
一昔前は外車が珍しく、左ハンドルの車ということ自体がステータスと感じる人も多くいました。
しかし、今では外車でも国産車とさほど価格が変わらない車種も数多くあり、外車自体のステータス性が以前と比べると低くなったことも背景にあります。
ステータスよりも運転のしやすさや安全性への優先度が高まって、右ハンドルが主流になりました。
右ハンドルと左ハンドルの違い
そもそも右ハンドルの車と左ハンドルの車がある理由や、その操作性の差異とはどのようなものなのでしょうか。
世界では左ハンドル・右側通行が主流
日本は左側通行となっていますが、これは世界を見渡すと実は少数派。日本と同様の左側通行の国・地域は全体の約30パーセントとなっており、残り約70パーセントの国・地域は右側通行なのです。
運転のしやすさから左側通行の国では右ハンドル、右側通行の国では左ハンドルの車が主流となっており、通行方向の割合から分かる通り世界では左ハンドルの方が主流となっています。
しかし実は、ベンツによって自動車が発明された黎明期は、右側通行の国でも左側通行の国でも右ハンドルの車が販売されており、むしろ右ハンドルの車のほうが数多く販売されていました。
しかし、1908年に発売された左側ハンドルのT型フォードの大ヒットにより、右側通行には左ハンドルというスタイルが定着。
第一次世界大戦が終了した1920年頃には、右側通行・右ハンドルという車は見られなくなり、現在のように左側通行の国では右ハンドル、右側通行の国では左ハンドルの車が主流となりました。
通行方向とハンドル位置の関係
現在は道路の交通事情に合わせて、左側通行であれば右ハンドル、右側通行であれば左ハンドルとなっている国が多いです。これは助手席の人が車を降りる際、歩道側に安全に出られるようにするためというのがはじまりで、フォードが提案し前述のT型フォードの世界的ヒットにより左ハンドルが広まりました。
もし車道側が助手席であった場合、自分で車を操作することができない助手席の人にとって、対向車がすれ違うことは非常に恐怖を感じるであろうことから、車道側が運転席である方が安全性が高いと言えます。
日本は左側通行のため右ハンドル車が主流ですが、左ハンドル車に対して走行規制等はありません。しかし、北米などは右ハンドル禁止の規制が設けられており、輸入車に対してもハンドル規制があるため、現地で日本製の車を輸入・運転する際はハンドル位置を変更し、適正審査に通す必要があります。
左ハンドル車のメリット・デメリット
左側通行の日本において、一見すると左ハンドルの車を運転することはデメリットが大きそうですが、実際に運転をしてみたら気づくメリットもあります。そしてもちろんデメリットも。
実際の運転時においてはどのようなメリット・デメリットがあるのか見ていきましょう。
左ハンドルのメリット
左側に寄せやすい
左に運転席があるため、右ハンドル車より左に寄せやすいです。左側の路肩に車を停める際に便利でしょう。
左折時の巻き込みや歩行者の確認がしやすい
左折時、歩行者や自転車の巻き込み確認がしやすいです。また運転席が歩道側にあるため、左からの歩行者の有無の確認もしやすいです。
対向車との衝突事故時、運転席は安全性が高い
左ハンドルの車で対向車との衝突事故が起きた場合、対向車と衝突した衝撃や破損が一番大きいのは助手席のため、もし助手席に人が乗っていなければ人的被害を最小限に抑えることができます。
ハンドル位置を付け替えていない外車のほうが性能が良いことも
自動車製造技術の発展により、ハンドル位置を付け替えたことによる車の操作性の低下は今ではほとんど見られないものの、スポーツカーなど一部の外車では元々の左ハンドル仕様の方が運転しやすく、パワーが発揮できることもあります。
左ハンドルのデメリット
右折時に対向車が見えにくい
右折時、対向車線にも右折車がいる場合には対向車線の直進車が大変見えにくいです。安全のために、右折時には視界が開けるまで曲がらないなどの対策を講じる必要があります。この点は左ハンドル車の最も大きなデメリットと言えます。
右折時に歩行者が見えにくい
右に運転席があるため、右ハンドルに比べ右折時に歩行者が見えにくいです。対向車も見えにくいため、かなり気をつけて運転する必要があります。ただし、ピラーによる死角は右ハンドル車よりも小さく、視野が広くなるとも言えます。
対向車との距離感がつかみにくい
対向車線と隣接する道路では、右ハンドル車と比べて対向車との距離感がつかみにくく、狭い道幅でのすれ違いなどは慣れるまでは注意が必要です。
対向車との衝突事故時、助手席が危険
「対向車との衝突事故時、運転席は安全」というメリットとは逆に、助手席に人が乗っている場合、助手席が対向車との衝撃や破損が一番大きいため、危険にさらされてしまいます。家族や友達などを助手席に乗せる機会の多い人にとっては、大きなデメリットと言えるでしょう。
駐車場の精算機やドライブスルーなどが不便
駐車場の精算機や高速道路の支払い、ドライブスルーなどの施設は右側に設置されているケースが多いです。左ハンドル車だと、運転席から降車せずに対応することは難しく、手間と感じてしまうかもしれません。
左ハンドル車ユーザーのあるある
今ではなかなか日本では運転する機会がない左ハンドル車ですが、左ハンドルのユーザーならではのあるあるや、起こしがちなヒヤリハットなどはどういったものがあるのでしょうか。
追い越ししにくい
左に運転席があるため対向車線が見えにくく、センターラインを超えて対向車線を一時走行する必要のある追い越しが難しいと感じる人が多いです。
路肩に駐停車しやすい、がしかし!
左側通行の日本では、駐停車の際、左側に寄せることがほとんど。左ハンドル車ではギリギリまで寄せやすいというメリットがあります。その一方で、ガードレールや植木などがあると、降車しにくいというデメリットもあります。
ワイパーと方向指示器を間違える
外車の左ハンドル車は国産車と反対で、右手がワイパー、左手が方向指示器(ウィンカー)となっており、慣れるまでは間違えて操作してしまう人も。なお、外車は右ハンドル車であっても、右手がワイパー、左手が方向指示器の場合が多いです。
現在では右ハンドルとなった輸入車も、ワイパーと方向指示器については左ハンドルと同じなので、初めて輸入車を運転するユーザーは戸惑うかもしれません。
そもそも左ハンドル仕様に乗りたいというわけではない
外車が珍しく、国産車と比べて高価で購入しづらかった時代は、外車の象徴である左ハンドル車に乗ることは一種のステータスであり、多少運転しづらくても左ハンドル車を選ぶ人もいました。
しかし、そのようなステータスが薄れた今、「左ハンドル車に乗りたい」という人は多くなく、「自分の乗りたい車が左ハンドル仕様しかない」という理由で左ハンドル車を保有している人が多く見受けられます。
左側通行である日本では、左ハンドル車の走行は難しい点ばかりが目立つと思いがちですが、実は左ハンドルならではのメリットも数多くあることがわかりました。
特に、左ハンドル仕様しか販売されていない車種を購入したい人にとっては、事前にそれぞれのメリットとデメリットを理解しておけば、必要以上に身構える必要はないことがおわかりいただけるかと思います。
左ハンドルであっても右ハンドルであっても、細心の注意を払って、楽しい外車ライフを!