
100年に1度の変換期と言われる自動車業界ですが、それは何も技術に限った話ではありません。
鎌倉幕府がいつのまにか1192年(いい国作ろう♪)から1185年になったように、車に対する常識なども常に更新されているのです。
まだBMWのことをベンベー、AMGのことをアーマーゲーと呼んでいる人はいませんか?
常識を変えていきましょう!
などと、おごそかに書きましたが、この記事では知っているとなんとなく楽しい外車メーカーのトリビア(雑学)をいくつか紹介します。
ぜひ、いつかの食事会でちょっとした小ネタにどうぞ。
【トリビア1】ドイツ車の読み方今昔
「コストコ」は『コスコ』、「イケア」は『アイケア』、「ゴディバ」は『ゴダイバ』のように日本での発音とメーカーやブランド発祥の地の発音や英語の発音が違う場合は多々あります。
なかには「え?本場ではこう言うよ?」なんて、通なフリをして海外風に発音する人(もちろんどんな発音でもいいのですが)はいませんか?
そして気になるのが、一時期は物議を醸したドイツ車の呼び方。
さすがにもうBMWを『ベンベー』と発音する人は少なくなったかと思いますが、今はどのように発音するのが主流なのでしょうか。
先ほどのベンベーは、かつて「BMWが本国ではそう呼ばれている」という認識から一部の人の間で好んで使われた読み方。
ですが、しばらくすると本国ではBMWは『ビー・エン・ヴィー』と読むことがわかり、ベンベー勢はかなりの少数派となったようです。
下記公式サイトにて、「BMW」の各国の発音を聞くことができます。個人的にはトルコ語が1番衝撃的でしたので、ぜひ各国の発音を聴き比べてみてください!
参考:BMWの世界各国の発音 | BMW.com Japan
また、ベンベーと同じくメルセデス・ベンツのスポーツ系ブランド「AMG」を『アーマーゲー』と呼ぶのを聞いたこともあるかと思います。
今はかなり少なくなりましたが、筆者が中古車販売店に勤めていた10年前はまだアーマーゲー勢の生存確認ができました。
ちなみに「マイバッハ」を『メイバック』と読むのはアメリカ式と読み方となります。
【トリビア2】アウディの4つのリングの意味とアウディの意味
リングが重なっているロゴと言えば、オリンピックかアウディを思いつく人も多いでしょう。
4つのリングが重なってできたロゴが印象的なアウディですが、なぜ4つのリングなのでしょうか?
その理由は、1932年に4つの自動車メーカー(アウディ、DKW、ホルヒ、ヴァンダラー)が統合したからです。
それぞれのメーカーをリングで表現し誕生したのが、この「フォーリングス」と呼ばれるロゴなのです。
また、アウディの誕生秘話として実はホルヒというメーカーが深い関わりがあるのです。
ホルヒを立ち上げたのは、自動車の黎明期を支えた伝説的エンジニア、アウグスト ホルヒ氏で、氏はカール ベンツのもとで3年間自動車製造の責任者を務めていた重要人物です。
よって、アウディの意味も氏の名前に因んでいます。アウディとはドイツ語で「聞く」を表す「ホルヒ」をラテン語訳したもの。
しかもその提案を行ったのは、新会社の名前に関する話題を聞いていたホルヒのビジネスパートナーの息子でした。
ラテン語につうじていた男の子が、大人たちの会話を聞き名前の提案を行ったのです。
子どもの柔軟な考えがいかに大切かがよくわかるエピソードですね。
【トリビア3】BMWのエンブレムはプロペラというのはウソ
多くの人が、BMWロゴは図案化されたプロペラだと信じています。しかし、事実は少し異なります。 出典:BMWロゴの意味とは | BMW.com Japan
とは、BMWグループ・クラシック アーカイブ ディレクターのフレッド・ジェイコブズ氏の言葉です。
念の為、ChatGPTにBMWのエンブレムについて聞いてみたところ、「プロペラの形なんだよ!」と元気に答えてくれました。
いつかロボットが反乱を起こすかもしれないと怯えている筆者は、その後、懇切丁寧に「実は違うんだよ」となるべくご機嫌を損ねないように教えてあげるはめになったのですが…。
航空機エンジンの製造メーカーであるラップ発動機製作所が改称され誕生したBWMには当初、エンブレムがありませんでした。
最初のロゴはラップ社と同じく円形のデザイン、黒の外周円とその中に社名が入るデザインが引き継がれました。
そしてBMW=バイエリッシュ・モトーレン・ヴェルケという社名からもわかる通り、BMWの故郷はドイツのバイエルン州なので、バイエルン州のカラーである青と白が採用されています。
ではなぜ、プロペラが図案化されたという話が出回ったのでしょうか?
それは1929年以降のBMWの広告に原因があります。その広告ではプロペラの中にBMWのロゴが入った飛行機が描かれていたからです。
広告自体はプラット・アンド・ホイットニーという会社の航空機エンジンをBMWがライセンス生産したことを訴求する内容でした。
その広告が自社のイメージともあっていると考えたBMWは、しばらく広告にプロペラのイメージを使用しました。
そのことから「BMWのロゴはプロペラである」というイメージが広まり、またBMWもその説を積極的に正そうとはしなかったのです。
その後、2020年にBMWはロゴを流行りの先進的なイメージのものに変更しました。その際、フレッド氏は以下のように語っています。
厳密に言うと、BMWのロゴがプロペラに由来するという解釈は正解ではありません。
しかし、90年もの間繰り返し語られてきたこの解釈が、やがて都市伝説としてある程度正当化されるようになったのも事実なのです。 出典:BMWロゴの意味とは | BMW.com Japan
【トリビア4】プジョーが最初に作ったのはペッパーミルではない
少しオシャレな雑貨屋さんなどに行くと、プジョーマークのペッパーミルを見かけることはありませんか?
または、2023年のWBCの際に流行ったペッパーミルパフォーマンスで「プジョーってペッパーミル作ってるんだ」と知った方もいるかもしれません。
車に興味をもっている方は「プジョーはもともとペッパーミルのメーカー」という話を耳にしたことがあるかと思います。
これは半分正解で半分不正解です。
今では自動車メーカーとしてのイメージが強いプジョーですが、実はこれまでかなり多くの商品を製造しているのです。
プジョーの歴史は、1810年フランス東部で工業製品メーカーとして「のこぎりの刃」を製造したのが始まりです。
その後、1812年には農業用のフォーク、左官ごて、剃刃、4枚刃肉切り包丁など様々な道具を生産します。
1840年には家庭用コーヒーミル、1852年には女性のスカートを膨らませるためのクリノリン、そして1874年にペッパーミルの生産が開始されたのです。
自動車はさらに先で、自動車第1号の生産に成功したのは1882年になります。
その後、1989年にペッパーミル部門は独立、美食の国フランスらしく2007年にはワインメーカーを買収しワインアクセサリーの取り扱いも始めています。
プジョーは確かにペッパーミルでも頭角を現しましたが、プジョーが最初に作ったのはペッパーミルではなく、実はノコギリの刃だったのが正解です。
プジョーの象徴ともいえるライオンのロゴについても少し触れてみましょう。1850年にノコギリの刃に「ライオンの鋭い歯」をイメージしてロゴをあしらったのが最初です。その後、1858年に正式にライオンのエンブレムが商標登録されたのです。
【トリビア5】最初にシートベルトを標準装備したのはボルボ
筆者は以前、自動車の衝突実験を見せてもらう機会があったのですが、その勢いと音、人形ダミーの揺れ動くさまに衝撃を受け、実験を見てから2ヵ月ほどその大きな音がトラウマになりました。
自動車事故の衝撃に強い輸入車メーカーといえば、「ボルボ」といったイメージがありますね。
そのイメージ通り、3点式シートベルトを最初に設置したのはボルボで、考案者はニルス・ボーリンというエンジニアです。
ボルボPV544に導入された3点式のシートベルトは、特許を無償公開したことですべての自動車に広まりました。
ボルボはほかにも、後ろ向きのチャイルドシート、子供用のブースタークッション、サイド・エアバッグなど、ほかにもボルボが初となる多くの安全に関する機能を開発しています。
近年では、すべての新型車の最高速度を180km/hに制限するシステムや、ドライバーの状況を注意散漫、居眠り、酩酊状態などの不適切状態を検知しないかなどのモニターシステムを新たに開発しています。
各メーカーとも、モデルチェンジの度に新しい安全システムを導入していますが、ドライバー側でも自動車事故の防止に努めていかなければなりませんね。
まとめ
食事の席や歓談の場で、ちょっと盛り上がりような外車にまつわるトリビアを紹介しました。
筆者も今回のテーマについて調べているうちに、初めて知るような話題もありました。
メーカーの読み方は、ぜひほかのメーカーも各国での発音を調べてみたりすると面白いかもしれませんね。