すべてのクルマ好きの原点でありロマンでもあるMT(マニュアル)車。今ではスープラですら当初はATのみの生産だったりと、その存在はもはや絶滅危惧種のようです。
そして、2025年4月からは教習所のカリキュラムが一新され、原則としてATでの免許取得が基本となりました。MT免許はいわゆる従来の「限定解除」のような扱いへと完全移行しています。
そんなイリオモテヤマネコのように希少となったMT車ですが、今回は現在の市場でも新車で狙える貴重な輸入車と、今こそおすすめしたい中古輸入車を紹介します。
目次
MT免許取得はどう変更される?

2025年4月の道路交通法施行規則の一部改正により、自動車教習所の教習において最初からMT車を選択することが不可能となりました。
現在MT免許を取得したい人は、まずはAT免許を取得し、その後にMT免許へと限定解除する流れが定着しています。
かつてはAT免許とMT免許の両方のコースが並んでいた教習所ですが、法改正以降はカリキュラムが一元化されました。
30代前半の筆者としては、2007年以前に免許を取得した諸先輩方の「俺の免許だとコレ(中型車8tに限る)が運転できるんだよ〜」が心底うらやましいのですが、今やMT免許そのものが一つのステータス。
いずれ若者から「マニュアル……?って、なんですか?」と言われる日も、そう遠くはないかもしれませんね。
新車で乗れる輸入車MT9選
年々市場から姿を消していく新車のMT輸入車。
現在カタログモデルや独自のデリバリー枠として購入できる選択肢は、とうとう指で数えるほどになってしまいました。
ここでは、最後の砦となる新車(または現行モデル)の顔ぶれを紹介します。
ポルシェ 911、ポルシェ 718
スポーツカーの代名詞とも言えるポルシェには、まだ2車種のMT車が残っています。
ランボルギーニやフェラーリなどラグジュアリースポーツカーの同志たちが次々MT車を廃止にするなか、いまだにMT車を量産してくれているポルシェには頭が上がりません。
スポーツカーの中でもとくにアイコニックなのが911です。2023年には初代デビューから60周年を迎えました。
カレラGT3は911では初めてとなる電動化を実施していますが、同じくカレラTにはMTを引き続き採用する太っ腹ぶり。
MT好き最後のオアシスとなるかもしれません。
長らくポルシェファンを唸らせてきたケイマンとスパイダーは、2016年より718という名前を冠しています。
そしてケイマンとスパイダーどちらにもMT車が設定されているので嬉しいですね。
この2台は台数も多く、中古で手軽に手に入るのも魅力的です。
ルーフ SCR
ポルシェ専門のコンプリートカーブランド、ルーフ。1970年代から911ベースのマシンを独自に開発してきたその腕は本物です。
そのため、現在販売しているSCRは見た目は911ですが中身はほぼオリジナル開発というから驚きです。
6速MTを積んだSCRは日本で乗ればより一層目立つこと間違いなしですね。
アバルト 695/フィアット 500
1949年にイタリアで設立されたサソリのマークが特徴的なアバルト。
ベースとなるガソリンエンジンの「フィアット500」とともに、日本向けの生産・輸入はすでに終了を迎えています。
かつてはAセグメントコンパクトの主役として日本でも大人気でしたが、現在はディーラーの最終在庫や登録済未使用車など、手に入れられる機会は確実に限られています。
あの小気味よい5速MTのキビキビ感を新車に近いコンディションで味わいたいなら、文字通り「今が本当に最後のチャンス」です。
ルノー メガーヌ
FF最速の系譜を継ぐメガーヌR.S.も、ブランドの電動化シフトに伴い生産終了となりました。
全世界1,976台限定で発売された最終モデル「ウルティム(Ultime)」をはじめ、新車に近い個体はまさにコレクターズアイテム化しつつあります。
高額すぎずコンパクトすぎず、サーキットもこなせる実力派MTとして、その需要と価値は高まる一方です。
ケータハム セブン

首都圏を走っていると意外と見かけるケータハム。ロータスから製造権を引き継ぐことでセブンを生産し続けています。
エクステリア、インテリアともに完全なるクラシックカーであるにもかかわらず、現代に生産された新車が購入できる特殊なメーカーとも言えます。
所有しているだけで資産となりそうなケータハムですが、MT好きはおとなしく保管せず、乗り回しちゃいますよね。
モーガン プラスフォー
2024年にプラスシックスの生産が終了し、プラスフォー1車種のみのモーガン。
ケータハムよりもよりラグジュアリーな雰囲気をまとった新車で購入できるクラシックカーです。
驚くべきことにBMW製のパワフルなエンジンにMTを組み合わせており、趣味のクルマとしてはかなり高価(1,600万円超〜)ですが、手に入れればきっと唯一無二の相棒になってくれるでしょう。
おすすめ中古輸入車MT5選
新車で購入できる輸入車MTが文字通り絶滅寸前であることがお分かりいただけたかと思います。
しかし、中古車市場に目を向ければ、魅力的な選択肢がまだまだ豊富に存在します。ここでは、今狙うべきおすすめの中古MT輸入車を紹介します。
フォルクスワーゲン ポロGTI
フォルクスワーゲン・ポロGTIのMTモデルは、日本市場では2015年まで販売されていました。
GTIのエンブレムが入ったMTモデルが憧れだった人もいるのではないでしょうか?
現在はAT(DSG)モデルのみとなっていますが、扱いやすいボディサイズと実用性の高さは折り紙付きです。
MTモデルの販売終了は2015年ですが、最終型であればインテリアや運転席周りに特段の古さを感じず、現代の交通環境でも違和感なく乗ることができます。
「週末のツーリング」というよりは、「日常の通勤や買い物で毎日MTを楽しみたい」という方に最適なパッケージです。
ルノー トゥインゴ
トゥインゴは希少なRR車に安価に乗れるということでファンも多い車です。
5MTとRRの組み合わせでキビキビと動くさまが本当に可愛かったトゥインゴですが、2023年に日本向けモデルの生産が惜しまれつつも終了されました。
見た目の可愛さとは裏腹に、クイックなレスポンスでこちらの思うがままにドライビングができるのも特徴です。
峠道はクイックすぎて少し扱いにくいところもありますが、高速域ではRR×MTの楽しさを十二分に楽しめるでしょう。
トゥインゴのMTモデルはいまだ中古車市場にも多く出回っていて、比較的手も出しやすい値段となっています。
趣味性の高いトゥインゴにぜひチャレンジしてみませんか。
BMWミニ ミニクーパー
BMWミニのミニクーパーは2020年にMTモデルの生産を終了しました(ジョン・クーパーワークスは2023年)。
ミニならではの普遍的なデザインは、いつの世代のモデルを選んでも古さを感じさせません。
ATでも「ゴーカートフィール」と呼ばれるキビキビした走りが楽しめますが、MTで操る楽しさは別格です。
一般道はもちろん、ぜひ峠道を流してみてください。ミニ特有のダイレクトな走りの良さが体感できるはずです。
中古市場も活発なので、自分好みの一台を探す楽しみもあります。
プジョー 205
MT車をせっかく楽しみたいのであれば、猫足もプラスしてみてはどうでしょうか?
ラリーカーとして長らく名を馳せたプジョーからは205を紹介します。
空力や安全性の観点から、今ではほとんど見ることのなくなった真四角デザインがかっこよすぎる205。
現在、中古市場で改めて注目されています。
平成頃はただの「古い車」だった205ですが、令和になると逆に「おしゃれな車」となり、雑誌などでも度々おしゃれな人が乗る車として紹介されていますよね。
205を運転していると楽しいだけでなく、205に似合う自分になりたいと思わせてくれる不思議な車です。
205はいわゆる「重ステ」、現代のパワーステアリング車しか乗ったことがない人からすると、そのステアリングの重さに驚くかと思います。
しかし、この重ステこそが車を運転しているぞ!と実感できるのが205のスパイス。
現在中古車市場でもほとんど見ることのできない205、楽しいだけではなく資産価値も上がっています。
もし見かけたときは、ぜひ前のめりに購入を検討してみましょう。
まとめ
今回は新車で狙えるモデルから、今こそ手に入れたい中古車まで、珠玉のMT輸入車を紹介しました。
免許制度も変わり、新車ラインナップからも徐々に姿を消しつつあるMT車は、まさに時代の過渡期にあります。しかし、だからこそ自らの手足でギアを操り、内燃機関と対話する楽しさは何物にも代えがたい価値があります。
完全に市場から消え去ってしまう前に、ぜひあなたもMT輸入車の世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか。
