海外で人気の日本車メーカーと車種

海外で日本車が人気の理由

車を製造している国はたくさんあるにもかかわらず、全世界で大きな人気を誇る日本車。その人気の理由はどこにあるのでしょうか。

耐久性が高く、壊れにくい

日本車の壊れにくさは他国の車と比べて群を抜いていると言われます。海外では車の性能や安全性を確保する車検制度のような制度はありません。
車検制度のある日本は、その厳しい検査基準をクリアできるような耐久性の車が製造されているのです。

整備された舗装道路が少ない国や地域では車の耐久性が重要となります。そのため壊れにくい日本車は信頼を得ています。

また、日本車の整備工場は各国にあり、修理自体も部品があれば行いやすい車が多く、もし車が壊れてもすぐに修理できるのも人気の理由です。

燃費性能が高い

通常のエンジン、ハイブリッドエンジンともに性能が高く、他国の車と比べて燃費性能が非常に高いのが日本車の特長です。燃費性能が高いためガソリン代を抑えることができるとして人気です。

性能が高い割に価格が安い

日本車はその性能の高さのわりに他国の車と比べてお手頃な価格であるのも人気の理由の1つです。中古車であれば日本車をかなり低価格で購入でき、なおかつ性能が高いとあり、東南アジアやオーストラリア、アフリカなどでは、日本では見かけないような古い年式の日本車の中古車もたくさん見かけます。

また、新車で購入する場合もその壊れにくさからリセールバリューが高いため支持を集めています。

各国・地域ごとの人気日本車メーカー・車種

全世界の国・地域で日本車は流通していますが、人気のメーカーや車種は異なっています。それぞれの国・地域ごとの人気日本車メーカー・車種を見ていきましょう。

アメリカ

新車販売台数の約4割を日本車が占めるアメリカ。
そんなアメリカで人気の日本車メーカーはトヨタで、毎年全米の新車販売台数1、2位をGMと争うほど圧倒的な売上を誇っています。次いでホンダ・日産・スバル・マツダも全米売上トップ10位以内に入る人気メーカーとなっています。

広大な大地が広がり、道幅が広く長距離運転に適した大きめの車が人気のアメリカ。
日本車の売れ筋はSUVとなっており、「トヨタ RAV4」が日本車で最も人気です。他にも、「日産 ローグ（米国限定発売車で日本のエクストレイルとほぼ同仕様のSUV）」「トヨタ グランドハイランダー（日本国内ではクルーガーとして2007年まで販売されていたSUV）」「ホンダ CR‐V」「スバル クロストレック」などが人気です。

また、SUV以外では「トヨタ カムリ」「トヨタ カローラ（日本のカローラよりサイズが一回り大きい仕様）」「ホンダ シビック」などが人気となっています。

オセアニア

自国の自動車メーカーがなく、他国の自動車メーカーの自動車工場もないため、全ての車が輸入車となっているオーストラリアとニュージーランド。

オーストラリアは新車販売台数の5割超を日本車が占め、中古車も日本車が人気となっています。
2022年新車販売台数のシェアは1位トヨタ・2位マツダ・4位三菱・8位スバル・9位いすゞと日本車メーカーが上位を占め、日産・ホンダ・スズキ・レクサスも新車販売が行われています。

アメリカ同様、道幅が広く長距離運転に適した大きめの車が好まれるオーストラリアでは、やはりSUVが人気。「トヨタ RAV4」「マツダ CX-5」「トヨタ ランドクルーザー（日本国内のモデルと仕様が異なる）」などが人気です。

また、日本ではなじみが薄いですが、オーストラリアでは機材やアウトドア用品をたくさん積むことのできるピックアップトラックがSUVと並んで人気となっています。「トヨタ ハイラックス」「三菱 トライトン（日本国内では現在販売されていないが2024年初頭に再販予定）」「いすず D‐MAX（日本国内未販売）」が人気です。

ニュージーランドの新車販売台数のシェアは1位トヨタ・3位三菱、そして日産・マツダ・ホンダなどがトップ10以内に入りますが、アメリカやオーストラリアほど日本車のシェアは高くはありません。

売れ筋の車種は「三菱 アウトランダー」「トヨタ RAV4」「スズキ スイフト」「三菱 エクリプスクロス」などとなっています。

ヨーロッパ

自動車大国のドイツをはじめ、イタリア・フランス・イギリスなど自国メーカーが強いヨーロッパでは、日本車のシェアは低くとどまっています。他国では大きなシェアを誇るトヨタにおいても、わずか6〜7％のシェアとなっています。

そんなヨーロッパで健闘している車種は「トヨタ ヤリス」「トヨタ カローラ」「トヨタ RAV4」「トヨタC-HR」「日産 キャシュカイ（日本国内ではデュアリスとして2014年まで販売されていたSUV）」など比較的コンパクトなハッチバック型が人気となっています。

中国

中国では今、自国内の自動車メーカーがしのぎを削って電気自動車を生産し売れ行きが好調です。それに伴い、ガソリン車がメインの日本車のシェアは2020年に24％あったのが、2023年に入って15％と大きく落ち込んでいます。中国で人気の日本車メーカーはトヨタ・日産・ホンダです。

中国ではファミリー層にセダンが人気です。中国で人気のある日本車は「日産 シルフィ（日本国内では2020年に生産終了）」「トヨタ カローラ」「トヨタ カムリ」「ホンダ アコード」と、セダンが占めています。

東南アジア

新車・中古車ともに日本車のシェアが圧倒的に高い国が多い東南アジア。日本国内では販売されていない、現地法人で製造されている車種の人気が高いのが特徴です。

タイは新車販売台数の約85％を日本車が占める日本車大国です。2022年の新車販売台数のシェアは1位トヨタ・2位いすず・3位ホンダ・4位三菱とトップ4まで日本車メーカーが独占し、マツダ・スズキ・日野自動車もトップ10に入っています。

タイで人気なのはピックアップトラック。「いすず D‐MAX」「トヨタ ハイラックス」が人気となっています。

インドネシアは新車販売台数の9割超が日本車という、こちらも日本車大国。
2023年1～7月の新車販売台数のシェアは1位トヨタ・2位ダイハツ・3位ホンダ・4位スズキ・5位三菱とトップ5まで日本車メーカーが独占し、三菱ふそう・いすず・日野自動車もトップ10に入っています。

インドネシアで人気なのは小型ミニバン。「トヨタ アバンザ（日本国内未販売）」「ダイハツ シグラ（日本国内未販売）」「トヨタ カリヤ（日本国内未販売）」などが人気となっています。

中東

世界の中でも日本車が強い国が揃う中東。
新車・中古車共に日本車が圧倒的に人気で、日本車のシェアが7〜9割という国も数多くあります。中東のほとんどの国でシェア1位はトヨタとなっており、日産もシェア2位、3位という国が多くなっています。UAEやサウジアラビアなど、富裕層の多い国ではレクサスも人気です。

砂漠地帯の多い中東では、頑丈でオフロードもガンガン走ることのできる「トヨタ ランドクルーザー」が圧倒的な人気を誇っており、UAE・バーレーン・レバノン・クウェート・ヨルダン・カタールで売上第1位の車となっています。

アフリカ

低中所得層が多く、販売台数の8～9割が中古車という国が多いアフリカ。
見かける車は見渡す限り日本車の中古車だらけ、という国も少なくありません。乗用車もバスなどの大型車も様々な日本車メーカーの車が輸入されています。

未舗装路の多いアフリカでは、悪路走行性の高い「トヨタ ランドクルーザー」が人気です。また、荷物や人を乗せて移動することが多いため、ピックアップトラックの「トヨタ ハイラックス」「いすず D‐MAX」も人気です。