ピックアップトラックとは?メリット・デメリットや国産車・輸入車12選を紹介
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セダンのような運転席で、トラックと同様に天井がない荷台を備えた貨物自動車のピックアップトラック。
日本ではあまりメジャーではありませんが、アメリカ・オーストラリア・東南アジアなど、世界各国で高い人気を誇る車です。
そんなピックアップトラックですが、2024年に「三菱 トライトン」が再販予定、「トヨタ ハイラックス」がフルモデルチェンジ予定など、最近は日本でも注目度が高まっています。
今回はピックアップトラックの特徴や日本で購入可能なモデルなどをご紹介します。
ピックアップトラックとは
ピックアップトラックとは、前方にセダンやクーペのようなボンネットとキャビン(乗員スペース)を持つ車体に、トラックと同様に天井がない荷台を備えた貨物自動車のことです。
現在、日本ではなじみの薄いピックアップトラックですが、世界の数々の国・地域では、SUVと並ぶほどの圧倒的な人気を誇っています。アメリカでは2022年の新車販売台数のベスト3をピックアップトラックが占め、オーストラリアとタイではトップ10のうちピックアップトラックが4台ランクインするなど、ピックアップトラックはなくてはならない存在となっています。
日本では、戦後の復興期に小口輸送や農業の脚として大きな人気を誇りましたが、物流システムの変化、生活レベルの向上、バンの普及などにより、2000年代には生産終了が相次ぎ、いったん国産車のピックアップトラックは姿を消しました。
その後、2017年より「トヨタ ハイラックス」が通年販売を再開したのを皮切りに、2021年には「ジープ グラディエイター」が発売されました。
この2車種以外には並行輸入車が数種類輸入されているほかは、中古車の販売がされているのみの状態が続いていましたが、2024年初旬に「三菱 トライトン」がカタログモデルとしては初めて国内で発売されることが決定。
近年のアウトドア志向の高まりにより、SUVに続いて日本でもピックアップトラックへの注目度が上がっています。
ピックアップトラックのメリット
日本では、アウトドアやレジャーへの実用性、アメリカンスタイルを好むファッション性から指示を得ているピックアップトラック。
実際に実用面においてはどのようなメリットがあるのでしょうか。
広く大きな荷台が便利!
ピックアップトラックの特徴は、なんといっても広くて開放された荷台です。この荷台は屋根がないため、高さを気にせずに荷物を積むことができますし、濡れたり汚れたりしたものでも気にせず積むことが可能です。
特に、タイヤが泥や砂で汚れたマウンテンバイクやロードバイク、サーフボードやスキューバ用品など、アウトドアで使用後の道具をそのまま積んで、荷台が汚れても、水で洗い流すことができるのは大きなメリットです。ロードバイクを立てたまま積むことができ、必要に応じてロープで固定も可能で、荷物の安全性も確保できます。
また、バーベキューコンロなど使用後にニオイが気になる道具でも、ピックアップトラックの荷台なら室内にニオイが充満することがありません。濡れたものや泥の付いたものを載せた後でも、ホースなどで簡単に水洗いができるため、メンテナンスも手軽に行えます。
これらの特性から、ピックアップトラックは使い勝手の良い荷台を活かして、普通の車では難しいアウトドア用品や大きな物の運搬に非常に便利です。
普通乗用車より税金が安い
ピックアップトラックは1ナンバーか4ナンバーの貨物自動車登録となるため、3ナンバーや5ナンバーの普通乗用車登録車より自動車税や重量税が安くなっています。
ピックアップトラックのデメリット
ピックアップトラックの広く大きな荷台や普通乗用車と比較した際の税金の安さは魅力的なメリットですが、購入を検討する際はデメリットもしっかりと把握しておくことが重要です。
以下にピックアップトラックの主なデメリットを解説しますので、購入の際の参考にしてください。
高速料金が高くなる
ピックアップトラックを高速道路で使用するとき、普通車と比べて料金が高くなることがあります。
これは、ピックアップトラックが車両区分で中型車に分類されるためです。特に長距離を移動する場合、料金の差が大きくなりがちで、頻繁に長距離運転をする方には不向きかもしれません。
そのため、主に近場でのアウトドア活動などに利用するのがおすすめです。
車体サイズが大きい
ピックアップトラックは、全長が5mを超え、全幅も1,855mmに達することがあります。日本の狭い道路や駐車場では、運転や駐車が困難な場面に遭遇することがあります。
また、大きな車体はその重量も増加させ、燃費の悪化を招くことも一つのデメリットと言えます。例えば、狭い商店街を通る際や、住宅街の狭い道を通る際には特に不便を感じるかもしれません。
ピックアップトラックの購入を検討している方は、これらのメリットとデメリットを比較しながら、自分のライフスタイルに合った選択をすることが大切です。
特に、どのような用途で車を使いたいのか、どの程度の頻度で長距離を運転するのかを考慮すると良いでしょう。
ピックアップトラックに関して良くある質問を紹介
ピックアップトラックに関する疑問や質問は数多く存在します。
たとえば、「ピックアップトラックの維持費はどのくらいか?」や「人気傾向はどうなのか?」など、実際に購入や使用を検討している方々から寄せられる質問を集めてみました。
これからピックアップトラックを購入しようと考えている方や、もっと知りたいと思っている方のために、ここで具体的な回答やピックアップトラックの実用性についても触れていきます。
ピックアップトラックの維持費は?
ピックアップトラックは普通車とは異なり、1ナンバーまたは4ナンバーの普通貨物車として扱われるため、維持費の構造が異なります。
今回は後ほど紹介しているトヨタのハイラックスを例に維持費を調査してみました。
自動車税
ハイラックスは普通貨物車に分類されるため、自動車税が年間16,000円となります。
これは同じ排気量の普通車の自動車税が年間45,000円であることと比較すると、29,000円もの差があるため、税金面でかなりお得です。
車検費用
ハイラックスの車検は、新車購入後2年目に初回車検を迎え、その後は毎年車検を受ける必要があります。
この点は普通車と異なり、頻度が高くなるため注意が必要です。車検費用は基本的な点検費、検査料、そして固定の印紙代1,800円が含まれますが、点検費や検査料は車検場によって異なるため、比較検討が重要です。
エコカー減税
また、クリーンディーゼルエンジンを搭載しているハイラックスはエコカー減税の対象となる可能性があります。
この制度は環境に優しい車への税制優遇を意味し、新型コロナウイルスの影響で2021年度の税制改正により延長されました。減税の詳細については、購入前にディーラーなどで確認することが大切です。
その他の費用
ハイラックスの年間維持費は、自動車税や車検費用の他に、燃料代(年間約10,000km走行時に10万円程度)、定期的なメンテナンス費用(5〜10万円程度)、さらには駐車場代が必要になります。
地域によって駐車場代は大きく変わるため、居住地の条件も考慮する必要があります。
ピックアップトラックの購入を検討している方は、これらの維持費を総合的に考慮し、自分のライフスタイルや利用シーンに合った選択を行うことが望まれます。
ピックアップトラックの人気傾向は?
ピックアップトラックは、そのタフなフロントマスクと使い勝手の良い開放式荷台で、おしゃれかつ実用的な車として長年にわたり高い評価を受けています。
しかし、日本では他のボディタイプに比べて見かける頻度は高くなく、その人気の度合いには地域差が見られます。
海外での人気
ピックアップトラックは特にアメリカやアジア諸国をはじめとする海外市場で高い需要があります。
アメリカでは、広大な農場や建設現場での重宝が評価されており、農作業や建設作業のほか、日常的な買い物にも使用されています。これは、アメリカの広い土地と道路環境が、大型で実用的なピックアップトラックに適しているからです。
日本の自動車メーカーも、このような海外での需要を見込んで、積極的にピックアップトラックを海外市場向けに販売しています。
日本での人気
一方、日本ではピックアップトラックの人気は限定的です。日本の道路事情や気候がピックアップトラックの特性と必ずしも合っているわけではないため、普及率は低めです。
特に都市部では、車体の大きさが小回りを利きにくくするため、他のコンパクトな車種の方が好まれます。
しかし、アウトドア活動が趣味の人々の間では、その実用性と個性が評価されています。
キャンプやサーフィン、オフロードバイクなどのアクティビティに最適で、装備やアクセサリーを自由にカスタマイズできる点も魅力の一つです。また、独特のスタイルを楽しむ若者や、ファッション感覚でピックアップトラックを楽しむ層も増えています。
おすすめのピックアップトラック
日本車メーカーからの販売は少ないものの、世界の自動車メーカー、そして日本車メーカーの海外限定モデルでは、たくさんの種類が販売されているピックアップトラック。
ここではおすすめの12台をご紹介します。
国産車
トヨタ ハイラックス
2023年現在、国産車メーカーで新車として正規販売されている唯一のピックアップトラックです。
2004年に一度国内販売を終了しましたが、2017年から販売再開となりました。世界中で大きな人気を誇る車で、2022年の全世界の新車販売台数で第6位にランクインしており、トヨタとしては全世界で4番目に売れている車です。
2017年の再販後は、再販前の元々のファン層に加え、アウトドア好きやファッション性の高いクルマ好きの20・30代の若い層のユーザーからも人気を得ています。
4WDのため悪路走破性が高く、未舗装路や雪道などの悪路でも走破できるのも特徴。また、ボディの頑丈さも高く評価されており、「世界一壊れにくい車」との異名もあるとか。
三菱 トライトン
世界各国で人気を誇り、三菱自動車の売上の約2割を占めている大人気の車です。
日本では2006年から2011年まで輸入販売されて以降、終売となっていましたが、日本での近年のアウトドア人気の高まりにより、ピックアップトラックの需要を見込んで、2024年初旬に約12年ぶりに販売が再開されます。
今回、販売再開となる「三菱 トライトン」は2023年7月にタイで世界発表された新型モデル。日本で販売されるのはヒンジドア2対の「ダブルキャブ」(2列シート)となります。衝突軽減ブレーキ、後側方車両検知警報システムなどの安全機能も多数備えているのも安心です。
また、本格的なクロスカントリー4WDの機能を備えており、クロカンファンからも期待を集めています。
日産 ダットサントラック
1935年から2002年まで67年間販売されていた、国産車で歴代2番目に長期間販売されていた車です(なお、最も長期間販売されている車は、1951年から現在も販売されているトヨタ ランドクルーザーです)。
すでに販売終了から約20年経過しており、中古車もそこまで出回っていない希少車ですが、ほどよくレトロな角ばったデザインが旧車好きのあいだで人気となっています。
なお、現在は「ナバラ」と車名を変えて海外輸出向けのみに製造・販売されています。
輸入車
フォード レンジャー
北米・南米・オセアニア・アジア諸国・欧州で販売されているピックアップトラックです。
特にオーストラリアでは絶大な人気を誇り、2022年の新車販売台数で「トヨタ ハイラックス」についで第2位となっています。
日本での新車の取り扱いはなく、日本から購入する場合は中古車か並行輸入車となります。
悪路走行性が高く、オフロードを力強く走りたい人のニーズを満たす一方で、EVモデルも販売されているという、幅広いニーズに応えているのも人気の理由です。
フォード エクスプローラースポーツトラック
2000年から2010年まで北米で販売されたピックアップトラックで、日本でも一定期間新車販売されていました。現在は中古車での購入のみとなります。
「フォード エクスプローラースポーツトラック」は、SUV「フォード エクスプローラー」をベースとし、SUVとピックアップトラックが融合したモデルとして誕生しました。全長はハイラックスとほぼ同等のサイズで、日本でも使い勝手の良いサイズとしてキャンプなどのアウトドアを楽しむユーザーからの人気を博しています。
ジープ グラディエーター
ジープ史上最大サイズのピックアップトラックです。
人気のSUV「ジープ ラングラー」をベースとし、丸目ヘッドライトとグリルが特徴的なデザインとなっています。また、本格的なクロスカントリー4WDの機能を備えており、クロカンファンからも人気を集めています。
日本でも2021年より新車販売されており、「トヨタ ハイラックス」とともに日本で購入できる貴重なピックアップトラックとして親しまれています。大きさは「トヨタ ハイラックス」より一回り大きく、荷台の広さや大きな車を好むユーザーのニーズを満たしています。
シボレー シルバラード
アメリカ本国では2022年の新規販売台数が第2位となっているフルサイズピックアップトラックです。日本で購入する場合、中古車か並行輸入車となります。
特徴はアメリカらしいビッグサイズの車体。日本と違い、広大な土地が広がり大きな車が好まれるアメリカならではのサイズ感です。
なお、現在のアメリカは環境規制により急速に電気自動車の需要が広まっていて、2022年からはEVモデルも販売されています。
EV車というと航続距離が短いイメージですが、このシルバラードEVはGM社の次世代バッテリーを搭載しており、実に400マイル(約640km)とロングドライブにも適しています。
メルセデス・ベンツ Xクラス
2018年から2020年のわずか2年間のみ販売されていた、幻のピックアップトラックと言っても過言ではない車です。
日本では未導入となっており、入手するには並行輸入の中古車を探すしかありません。世界でわずか1万5000台ほどの出荷をもって生産終了となったため、中古車市場でも貴重な一台となっています。
ピックアップトラックである「ルノー アラスカン」「日産 ナバラ」と主要コンポーネントを共有するピックアップトラックとなっていますが、外装は「メルセデス・ベンツ Xクラス」専用の仕様となっており、同社のサルーンを彷彿とさせる高級感のある外観となっています。
逆輸入車
トヨタ タンドラ
北米トヨタで販売されているフルサイズピックアップトラックです。
「スペースシャトル エンデバー」の牽引に成功したほどのパワーが持ち味です。日本で購入する場合、中古車か並行輸入車となります。
日本で乗る場合、サイズの大きな「トヨタ タンドラ」の一部の車両は準中型自動車に分類されるため、普通自動車免許では運転できない場合があります。購入する前に必ず運転可能な免許区分を確認するようにしましょう。
トヨタ タコマ
北米トヨタで販売されているミッドサイズのピックアップトラックで、「トヨタ タンドラ」より一回り小さく「トヨタ ハイラックス」とほぼ同サイズとなっています。
アメリカの2022年の新車販売台数では第9位の人気モデルとなっています。日本で購入する場合、中古車か並行輸入車となります。
2024年には約8年ぶりのフルモデルチェンジが発表されています。
いすゞ D-MAX
日本では商用車のみ生産・販売していますが、海外ではピックアップトラックやSUVといった乗用車を生産・販売しているいすゞ。
「いすゞ D-MAX」はアジア・欧州・中東・アフリカ・中南米・オセアニアなど100以上の国・地域で販売されています。
特にタイでは2020年から2022年にかけて新車販売台数第1位、オーストラリアでは2022年の新車販売台数第8位にランクインするなど、大きな人気を誇っています。日本で購入する場合、中古車か並行輸入車となります。
2023年10月にモデルチェンジが発表されたばかりの「いすゞ D-MAX」。トラックが主力のメーカーらしく、力強くスポーティーなデザインが特徴です。
日産 タイタン
北米で販売されているフルサイズピックアップトラックです。日本で購入する場合、中古車か並行輸入車となります。
2024年に新型モデルの発売が発表されており、日産の最新のテクノロジーや安全装置がふんだんに装備されています。なお、この新型モデルをもって「日産 タイタン」は生産終了となる予定です。
ピックアップトラックというと「アメ車」というイメージが強くなりがちですが、日本車メーカーも海外向けに様々な車種を展開しているのが分かりますね。
日本国内では注目度の低かったピックアップトラックですが、近年はアウトドア志向の高まりやデザインのかっこよさから、若者からの支持が高まり再注目されています。
日本車もここ近年は「トヨタ ハイラックス」しか新車販売されていませんでしたが、来年にはモデルチェンジも控え、また「日産 トライトン」は再販も決定したことで、これから再熱がきそうな予感です。
輸入車輸入車・国産車ともに、今後の動向に注目ですね。