正規輸入車と並行輸入車の違いとメリット・デメリット
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せっかくの輸入車に乗るなら、人とは違う個性的な車に乗りたいと思ったことはありませんか?
実は一口に輸入車といっても、大きくは「正規輸入車」「並行輸入車」に分かれているのです。そして並行輸入車では、正規輸入車にはない魅力的で独特の車種がたくさん見つかる可能性があるのです。
しかし、「正規輸入車」「並行輸入車」とはどういう意味なのか、詳しくは知らないという方も多いと思います。そこで今回は、正規輸入車と並行輸入車の意味や違い、メリット・デメリットなどについてお伝えします。
オリジナリティーにあふれた自分だけの車を見つけたい方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
正規輸入車と並行輸入車の違い
正規輸入車とは、正規のディーラーを通して手続きし輸入された車です。例えばメルセデス・ベンツやBMWなどの直営店、ヤナセ経営店舗などが正規ディーラーに該当します。
それに対し、並行輸入車とは正規の代理店を通さずに輸入された車です。並行輸入車は国内のディーラーを介していないため、車種やメーカーに制約がなく幅広い選択肢があるのが特徴です。
正規輸入車と並行輸入車の見分け方
正規ディーラーで販売されている車は正規輸入車、それ以外は並行輸入車となります。
車検証の型式が不明、もしくは英数字が入っている車両は並行輸入車の可能性大。外国語のみで書かれた取り扱い説明書しかない場合も同様です。
アメリカからの並行輸入車はメーターがマイル表示のケースもあります。
今すぐ確実に知りたいときはディーラーに問い合わせてみるのも一つの方法。
また、並行輸入車はさらに新車並行車と中古並行車に区別されます。
輸入車にはVINコードと呼ばれるシリアルナンバーが表記されています。コードの年式と車検証の年式が合致していれば新車並行、それ以外は中古並行です。
それぞれのメリットとデメリット
並行輸入車、正規輸入車にはそれぞれメリット・デメリットがあります。詳しく説明していきます。
正規輸入車のメリット
正規輸入車のメリットは、なんといっても正規ディーラーの手厚いサポート。パーツやノウハウなどを豊富にもち、修理やメンテナンスにもスムーズに対応してくれます。
正規ディーラーは日本全国に展開しているので、出先でトラブルに見舞われても安心できるのがポイントですね。
正規輸入車のデメリット
車の選択肢が限られてくるのがデメリットといえます。正規ディーラーを通して輸入される各メーカーの車はかなり限定される傾向があります。本国で展開されている車が欲しくても、日本向けに輸入されていなければ正規で入手するのは困難です。
並行輸入車のメリット
一般に出回っていない、レアな車種やグレードが入手しやすい点が挙げられます。また、価格が定められていないため、円高のときに購入すれば安く入手できる可能性も。
ほかの人と被りたくない、個性的な車に乗りたい方にとってはうってつけです。
アメリカ車やドイツ車などの並行輸入車は基本左ハンドルになります。(一部イギリスやオーストラリア向けの輸出車には右ハンドルあり)正規輸入車でも一部左ハンドルはありますが車種は限られています。
左ハンドルでこれぞ外車!という雰囲気を味わいたい人には並行輸入車がおすすめです。
並行輸入車のデメリット
輸入元が明示されている正規輸入車と違って、並行輸入車は輸入元が不明な場合が多いもの。車両保険が高額になったり、保険に入れなかったりする可能性があります。
また、部品を取り扱っている店が限られるため、修理や点検では時間と費用が嵩みがちです。
為替レートのタイミング次第では安く購入できますが、輸送コストや検査費用、整備費用なども入れると結局高くつくケースもあります。
需要が低いのでリセールバリュー(再販価値)が低いのもデメリットの一つ。
リコールが発生した場合、ディーラーに持ち込んでもすぐに対応できないケースが多く、点検・修理までに時間を要する可能性が高くなります。
並行輸入で買える外車
では、実際に並行輸入で購入できる車にはどんなものがあるのでしょうか?
並行輸入できる車種の一例として4車種をピックアップしました。
ポルシェ 911カレラ
911カレラは、ドイツの有名な自動車メーカー・ポルシェのフラッグシップモデル。水平対向6気筒エンジンにRRを搭載した独自のパッケージングを守り続けた歴史深いスポーツカー。
メルセデス・ベンツ Gクラス350d
メルセデス・ベンツのGクラス350dは1979年に登場して以来、クロカンとして世界中で人気を誇っています。
G350d プロフェッショナル リミテッド エディションや、G350dリミテッド エディションといったGクラスはW463をベースにしています。W463は2017年に生産終了し日本では販売されていないので、新車を購入する場合は並行輸入車に限られます。
フォード マスタングGT
2023年新型モデルが発表されたマスタングGTは、アメリカを代表するマッスルカー。1964年に初代が生産されたマスタングの7代目となり、歴史と伝統を感じさせてくれます。
マスタング市場最強といわれる直噴5.0リットルV型8気筒ガソリン自然吸気エンジンを搭載しています。
欧州でも人気の車で、右ハンドル・左ハンドルの指定も可能です。
フォルクスワーゲン T6.1トランスポーター・コンビ
T6.1トランスポーター・コンビは、タイプ1(ビートル)を継承したタイプ2をベースにしたミニバン。
右ハンドル車と左ハンドル車で仕様が異なります。イギリス仕様の右ハンドル車「Kombi」では、リアウィンドウがスチールパネルになり2列目より後ろに荷物を積む貨客混在仕様・
その他の欧州向けの左ハンドル車では、貨物用途がメインのパネルバン(KastenWagen)、送迎用途などで使われるシンプルな乗用モデルのコンビ(Kombi)があります。左ハンドル車のkombiは、英国右ハンドル車のkombiとは用途が異なるのが特徴。
逆輸入車について
逆輸入車とは
逆輸入車とは「日本で輸出向けに生産され、海外へ出荷した後に輸入した車」のこと。現地のディーラーで直接購入した車も逆輸入車と呼ばれます。
国内では販売されていない仕様の日本車が入手できるのがメリット。日本向けに出回っていなかったり、国産車なのに左ハンドルだったりすることでインパクトは抜群。
海外の日本車の名称
海外の人にとって発音しづらかったり、変な意味になったりする名称は変更されることも。4つの例を見てみましょう。
ハリアー(Venza:ヴェンザ)/トヨタ
トヨタのハリアーは米国においてヴェンザという名称で販売されています。「Venza(ヴェンザ)」の由来は「venture (ベンチャー)」とイタリアの都市「Monza(モンツァ)」を組み合わせた造語です。
元々のハリアーの車名の由来は『チュウヒ属のタカ』の名称からきているそうですが、英語圏では『侵略者』『略奪者』の意味があるため、輸出にあたって変更された経緯があります。
2008年~2017年まで初代モデルは完全なオリジナルのモデルでしたが、2020年にアメリカ向けとして、ハリアーをベースに復活させました。
エクストレイル(ROGUE:ローグ)/日産
悪路走破性の高いSUVとして日本でも人気を博しているエクストレイルは北米ではローグ(ROGUE)の名前で浸透しています。欧州では「キャシュカイ」という車名で販売されています。
ローグという名前は英語で「お茶目な」、「悪戯な」という意味があります。
2022年にエクストレイルの新型登場に続いて、2023年にローグの新型が発表されました。
日本のエクストレイルはパワートレインが全グレード新世代e-POWERですが、ローグのパワートレインは1.5ℓ直3VCRターボ+CVTで、e-POWERは採用されていません。
ロードスター(MX-5 MIATA)/マツダ
印象的なオープンカーのロードスター(ROADSTER)は、海外ではMX-5 MIATA(エムエックスファイブミアータ)と呼ばれています。1989年にシカゴ・モーターショーで発表され、瞬く間に世界中で人気を集めました。
海外名MIATAは、公式発表では古高ドイツ語の「報酬」から命名しているとのことです。
2021年に発表された最新モデルでは、全グレードに「i-ACTIVSENSE」が標準装備されています。北米向けのミアータは2.0リットル直列4気筒ガソリンエンジン「SKYACTIV-G」が搭載されています。
エスクード(VITARA:ピターラ)/スズキ
1988年に初代モデルが発売されたスズキのエスクードは、クロスカントリーモデルの4WDシステムを搭載したSUV。イギリスやアイルランドなどの欧州で販売されています。
VITARA(ビターラ)という名前は、「いきいきとした」「元気な」などの意味がある「vital(ヴァイタル)」に由来した造語です。
2022年には、ストロングハイブリッドを装備した「ビターラハイブリッド」が登場しました。
逆輸入ができる日本車
逆輸入できる車の一例を4つ紹介します。
タンドラ/トヨタ
トヨタのピックアップトラックとして北米を中心に人気のタンドラ。2007年に発表された2代目モデルは今でも高い支持を得ていきます。エンジンは主にV8が使用されていますが、2021年の最新モデルではV8が廃止されています。
全長5.3m、全幅5m超えの迫力のボディは、何でもビッグなアメリカンのイメージそのもの。大きな荷台にバイクやボードなども詰めるタンドラは、日本でもレアな存在ながら根強い人気があります。
GRスープラ/トヨタ
日本代表する高級スポーツカーといえば、トヨタのGRスープラ。2002年にいったん生産を終了し、2019年に新型「スープラ」として復活し、海外でも根強い人気を保っています。現在はオーストリアのマグナ社に生産を委託しています。そのため、日本向けの車でもウインカーレバーがステアリングの左側についているのが特徴。
2023年に直6、3Lツインターボエンジンを搭載してパワーアップしたモデルが登場します。そして、このモデルをもって2025年に生産が終了するとこのと。それ以降はEV車として生まれ変わることがわかりました。
インフィニティQ60/日産
『インフィニティ Q60』は、日産自動車の高級車ブランドである“インフィニティ”が北米を中心に販売する中型SUV車です。日本ではスカイラインV37として流通していますが、2ドアクーペのQ60は販売されていないのです。
トヨタのレクサスとほぼ同時に北米展開されながら、いまだに日本で流通していないため、逆輸入するしか入手の手段はありません。
L200/三菱
2019年にフルモデルチェンジした6代目の現行L200。日本では正式な販売は行われていないため、入手するには逆輸入が必要。
4WDのピックアップトラックとして世界的には人気が高くメジャーです。日本では、「フォルテ」「ストラーダ」「トライトン」と名前を変えつつも流通していました。アジアでは今でもトライトンの名称を使用している国が見られます。
並行輸入車も正規輸入車も、それぞれメリット・デメリットがあります。
自分だけの1台にこだわりたいなら、やはり並行輸入車は魅力的。しかし、それに伴うデメリットの負担も軽くはありません。
輸入した車両を日本国内の保安基準に適合させるための整備を行ったり、保険会社によっては加入ができなかったりと、正規輸入にはない手間や費用がかかる場面が多々あります。
メリットとデメリットをよく比較して検討し、それでも並行輸入車が欲しいと思ったら行動するのみです!
購入方法は、個人で輸入したり、輸入代行サービスや並行輸入車ディーラーを利用したりといろいろあります。
お気に入りの相棒が世界のどこかで、きっとあなたを待っていますよ!