海外の交通ルールあれこれ
(最終更新日:)
「海外旅行中に運転してみたい!だけど日本と違う交通ルールの中で運転するのは不安…」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
各国の交通ルールや運転習慣をしっかり把握して安全運転を心がければ、公共交通機関では訪れにくい場所にもアクセスできてとても楽しいですよ!
今回は世界の交通ルールについてご紹介します。
知って安心・知らないと危険?
海外の交通ルールあれこれ
約70%の国・地域が右側通行
日本の車両は左側通行ですが、世界では右側通行が主流です。「外車=左ハンドル」のイメージがあるのは、外車のほとんどが右側通行の国から輸入されているからです。
世界の75ヶ国が左側通行、165ヶ国が右側通行となっており、圧倒的に右側通行の国の方が多くなっています。左側通行の国はイギリスをはじめ、オーストラリア・ニュージーランド・インド・香港・シンガポールなど、かつてイギリスの植民地だった国・地域が多くなっています。日本・タイ・インドネシアなど、イギリスの植民地ではないものの、左側通行の国もあります。
ヨーロッパや北米で車やキャンピングカーをレンタルしてドライブしたいと憧れる方も多いと思いますが、慣れない右側通行には細心の注意が必要です。
オーストラリアやニュージーランドも広大な自然をロードトリップするのが人気ですが、これらの国は左側通行なので日本人にとってはさほど困ることなく運転できるでしょう。
日本は他国よりも遅い?世界の制限速度
日本の制限速度は一般道30~60キロ、高速道路80~100キロ(一部高速道路は100~120キロ)となっています。これは世界の制限速度と比べて遅いのでしょうか。
世界の高速道路の制限速度はヨーロッパ諸国は110~130キロが多く、アメリカは州により105~130キロ、カナダは州により100~120キロ、オーストラリアは州により110~130キロ、ニュージーランドは110キロなどとなっています。中国・韓国・東南アジアは120キロが多く、台湾は110キロです。一方でアフリカでは80~100キロの国が多いです。
道路の舗装が整い高性能の車が走る先進国の中では、日本は制限速度が遅めの国ではあるものの、110キロ制限の国・地域も多く存在するので、際立って遅いわけではありません。
しかし、一般道となると日本は制限速度がかなり遅い国と言えます。そもそも日本は法定速度を一般道・高速道路の2つのみに分けていますが、ほとんどの国では市街地・一般道・高速道路の3つに分けています。
人が頻繁に通る市街地の制限速度は30~60キロとなっている国が多いですが、人があまり通らない郊外の一般道は80~100キロ程度と日本の高速道路と同等の制限速度の国も数多くあります。
筆者は実際にアメリカ・オーストラリア・ニュージーランドの道を運転したことがありますが、市街地以外の道はほとんど制限速度100キロ以上となっており、日本人にとってはほとんどの道で高速道路を走っているような感覚になります。
しかし、制限速度を超過した場合、わずか数キロの超過でも厳しく取り締まりが行なわれたり、罰則金が高額だったりする国もあります。オービスやスピードメーターなどがたくさん設置されている国も少なくないので、海外で運転する際は必ずその国の制限速度を確認し、順守して走行するようにしましょう。
日本とは全然違う!国別交通ルール・運転習慣
左側通行・右側通行、制限速度以外にも、交通ルールや運転習慣は国によって異なる点がたくさんあります。今回は日本人が観光で運転する機会の多い国の、日本とは大きく異なる交通ルールをご紹介します。
アメリカのケース
ルート66やグランドサークルなど、旅好きが憧れるロードトリップルートがあるアメリカ。日本とは交通ルールがかなり異なるので、事故を起こさないためにルールの認識が必須です。
右側通行
アメリカは右側通行です。認識していても、左折時に間違えて左車線に入ってしまうと、正面衝突してしまいますので気を付けてください!
赤信号でも右折可能
基本的には赤信号でも一時停止して安全を確かめたうえで右折が可能です。日本にいる感覚で青信号になるのを待っていると、後続車にクラクションを鳴らされてしまいます。ただし「NO TURN ON RED」という標識がある交差点では赤信号での右折は禁止です。
「YIELD」標識は「譲れ」の意味
「YIELD」の標識がある場合、前方の道を走行する車が優先となります。一時停止する義務はありませんが、前方の道の車の走行を妨げないように注意する必要があります。
踏切では一時停止してはいけない
アメリカでは踏切の手前で一時停止してはいけません。警報機がなっていたり、遮断機が降りていたりしなければ、一時停止せず進んで大丈夫です。逆に日本にいる感覚で一時停止してしまうと、後続車から追突されかねないので注意してください。
停まっているスクールバスの追い越し禁止
スクールバスが停まって赤いランプを点滅しているか、「STOP」サインを表示している時は、子供が乗り降りしています。子供が道を横切る可能性があるので、安全のためスクールバスを追い越してはならず、乗り降りが終わるまでバスの後で停車する必要があります。
標識やメーターはマイル表示
標識に書かれている制限速度や、車のメーターのスピードはマイル表示です。キロメートルに直すには1.6をかけます。たとえば標識に「50」と書かれている場合、80キロとなります。
ヨーロッパのケース
1つ1つの国が小さく、車で色々な国を回ってみたいと思う人も多いヨーロッパ。各国制限速度や細かい規定は異なりますが、ヨーロッパ諸国で共通のルールについてご紹介します(イギリス・アイルランドは除く)。
右方優先
信号のない交差点や右の道から車が来た場合、日本では左方優先ですがヨーロッパでは右方優先となります。自分のいる道の方が大きな道路であったとしても、右の道に停止線がない限り、右方優先となります。
ラウンドアバウトが多い
環状交差点の一種で、3本以上の道路を円形スペースで接続した交差点のことです。信号や一時停止がなく、一方通行で、環状部分を走る車が優先されます。日本ではあまり見られないラウンドアバウトですが、ヨーロッパやアメリカ、オーストラリアやニュージーランド、東南アジアなど海外ではあらゆる場所にあります。
有名なのはパリの凱旋門を円の中心とし、12本の道路が接続したランドアバウトです。慣れないと、今いる道路からいつ環状道路に合流し、いつ環状道路から次に進みたい道路に出ればよいのかわからずパニックになりやすいので、しっかりルールを確認してから運転しましょう。
ハザードランプでのお礼に注意
日本では道を譲ってもらった際などにハザードランプを点滅させてお礼をする人が数多くいます。この行為は、ヨーロッパ諸国でもルーマニアやブルガリアなど一部の国では同様の習慣がありますが、多くの国ではこのような習慣がないため、後続車に混乱を招いてしまいかねません。
特にドイツでは、ハザードランプの点滅やパッシングは相手を煽る行為ととられ、怒りを招くおそれがあるので注意が必要です。
ヨーロッパに限らず、海外では道を譲ってもらった際などに感謝を伝えたい場合は手を挙げて合図するのが無難です。
オーストラリアのケース
ウルルをはじめとした赤土の大地をはじめ、広大なオーストラリアの地をロードトリップするのは、アメリカと並んで旅好きの憧れとなっています。左側通行のため、日本人にとっては運転しやすい国です。交通ルールも困惑するようなルールは少ないですが、日本とは異なる道路事情や運転習慣があるので確認しておきましょう。
信号は少なく、ラウンドアバウトだらけ
都市の中心部や大きな道路以外は信号機のある交差点は少なく、ラウンドアバウトばかりです。左側通行のため、時計回りに周回し進みたい道路へと離脱します。
混乱しやすい矢印式信号機
日本にも矢印式信号機はありますが、オーストラリアのものはルールが異なっています。縦型の信号と矢印式の信号が並ぶ形になっています。縦型の信号が青色、矢印式の信号が赤色で右を指している場合、直進・左折は可能ですが、右折はできません。矢印が右を指しているからといって、間違って右折しないようにしましょう。
逆に縦型の信号が赤色、矢印式の信号が青色で右を指している場合、直進・左折はできませんが、右折のみ可能です。この場合、対向車は赤信号になっており直進してきませんので、すぐに右折して大丈夫です。
道路の脇や道路上の動物の死骸に注意
オーストラリアでは、郊外や山道の道路の脇や道路上にカンガルーやワラビーなどの野生動物の死骸が数多く転がっています。カンガルーやワラビーは光を求める習性があるため、日が沈み暗くなると車のヘッドライトに向かって飛び込んでくるなど車との衝突事故が絶えません。
衝突事故で死んだ動物が無残に轢かれている光景は、日本人にとってはショッキングだと思いますが、死骸を避けて運転すると無意識のうちに隣の車線にはみ出し、他車との接触事故を起こしかねません。心を無にしてまっすぐ走行しましょう。
走行距離50万キロ超の車は当たり前
日本だと「走行距離が10万キロを超えたら買い替え時」というのが一般的な認識でしょう。しかし、オーストラリアやアメリカなどでは、走行距離50万キロ超の車が現役なのは当たり前、中古車としても普通に販売されています。
都市部を低速でストップ&ゴー走行で走ることの多い日本と、広大な土地を高速で止まることなく走ることの多いアメリカやオーストラリアでは、車のダメージや走行距離への考え方は全く異なっています。レンタカーを借りた際に驚くような走行距離の車が貸し出される場合がありますが、しっかりメンテナンスされていれば問題ありません。
世界の交通ルールについて、理解を深めることができましたでしょうか。日本とは異なる点が数多くあるため、交通事故を防ぐためにも事前にしっかりと交通ルールや運転習慣を把握しておくことが大切です。
異国での運転は緊張しますが、自由に好きな場所に立ち寄れる気軽さや、日本では体験できない広大な大地を走る爽快さは、一度経験すると忘れられない思い出になること間違いなしです!
ぜひ海外での旅行時にドライブを楽しんでみてください。