マニュアル車を楽しむならフランス車がおすすめ
日本国内では、オートマチック車の比率が98~99%、マニュアル車の比率が残り1~2%といわれています。
オートマチック車は発進や変速時に面倒なクラッチ操作が不要で、速度に応じて変速は自動で行うため簡単に運転することが可能です。
しかし、マニュアル車は発進や変速時にクラッチ操作が必要で、任意のギアを選んで走行する必要があります。
最近ではオートマチック限定免許を取得する人も多く、マニュアル車を選択する人は少数派になっています。
クルマ好きの人は、運転する楽しさ、操る楽しさを味わうためにはマニュアル車に限るという意見もあります。
今回の記事では、乗り心地のよさと高い走行安定性を持つフランス車の中から、おすすめのマニュアル車を紹介します。
フランス車でマニュアル車が多い背景
近年は、フランス車のマニュアル車が新車で輸入されることはほとんどなくなりましたが、2020年以前は、コンパクトカーを中心にマニュアル車が多く輸入され日本国内で販売されていました。
フランス国内では、燃費の良さや故障の少なさなどから、今でもマニュアルトランスミッションで乗る人が多く、さまざまな車種に設定されています。
フランス車はオートマチックの故障が心配
かつてフランス車のオートマチック車は、日本のオートマチック車と異なり、スムーズさに欠ける部分があったり故障のリスクがありました。
プジョーシトロエングループの4速オートマチックは「AL4」、ルノーの場合、同じシステムのオートマチックを「DP0」と呼ばれています。
特徴としては、変速ショックが大きかったり、3速固定になるトラブルが多く、筆者もAL4のクルマに乗りましたがショックと異音に悩まされました。
もちろん全部が全部悪いわけではありません。定期的にATFの交換やバルブボディのオーバーホールなど実施すればトラブル予防につながります。
したがって、中古でフランスのオートマチック車を購入する際には、必ず試乗したうえで違和感ないかを確認することが大切です。
フランス車のオートマチック車が増加中
近年はフランスでもオートマチック車が増加しており、輸入もマニュアル車がほとんどとなり、逆にマニュアル車が輸入されなくなりました。
その背景にはオートマチック車の信頼性の向上があります。
日本のアイシンAW製オートマチックで信頼性向上
プジョー 308は、2011年からアイシンAW製6速オートマチックトランスミッションを採用しています。変速ショックが小さく信頼性が格段に向上しました。
プジョー、シトロエンのPSAは、アイシンAWと横置きオートマチックのライセンス契約を結び、6速の「EAT(エフィシェント・オートマチック・トランスミッション)6」、8速の「EAT8」を採用しています。
2024年8月時点では、プジョー、シトロエンのマニュアル車は輸入されず、ルノーの一部車種のみマニュアル車が輸入されています。
アイシンAW製トランスミッションは、トヨタ車のみならずBMWやボルボなど世界中の自動車メーカーで採用されています。
フランス車でおすすめのマニュアル車は?
フランス車でおすすめのマニュアル車は中古車の紹介です。
コンパクトカーから実用車までマニュアル車が販売されており、国産スポーツカーのマニュアル車の価格が高騰していますが、フランス車のマニュアル車はそれほど高騰していません。
ルノー カングー
ルノー カングーは、後席ドアにスライドドアを備える5人乗りミニバンで、2002年に日本導入以来ルノーの基幹モデルです。
クッション性に優れたシートは長時間乗車も疲れません。また、全高1.8mを超えるスペックは頭上空間にゆとりをもたらします。
頭上空間にも収納スペースを設けるなど、ユーティリティ性能に優れたクルマです。
2022年1月までのモデルにマニュアル車をラインナップしていますので、カングーのマニュアル車は中古車市場に豊富です。
中古車価格は100万円から200万円の価格帯で、年式による価格差が少ないのが特徴です。
2010年3月までのカングーは5ナンバーサイズのため人気です。DP0と呼ばれるオートマチック車が不人気のため、マニュアル車の価格が高めになっています。
3ナンバー化した年式の新しいカングーの価格は、年式に応じて下落していますが、年式による中古車価格の差はそれほど大きくはありません。
ルノー ルーテシア
フランス本国での名称は「クリオ」ですが、日本での名称は「ルーテシア」です。
ルノーのラインナップの中では「トゥインゴ」に次ぐコンパクトハッチバックモデルで、2006年に日本で発売されたルーテシアは、傘下に持つ日産の「マーチ」や「ノート」とプラットフォームを共有しています。
フランス車らしいオシャレな内外装デザインと、コンパクトな車体ながら広い室内空間が特徴で、実用性に優れた人気モデルです。
スポーツモデルの「ルノー スポール」は、200馬力以上の出力を発生させるエンジンを搭載し、より軽快な走りが楽しめます。ライトウェイトスポーツ、ホットハッチを好む方におすすめです。
ルーテシアの場合、2013年9月以降の6速オートマチック「6EDC」は、6速マニュアルトランスミッションを2つのクラッチで自動変速するシステムで、素早くスムーズな変速を実現しています。
しかし、低速走行の繰り返しや急の付く操作で負荷のかかる運転をすると、変速ショックがでたり、奇数段に入らないトラブルが出る場合があります。
2013年9月以前は「DP0」の4速オートマチックです。
マニュアル車は構造がシンプルなため故障のリスクを回避できるため中古車市場で人気です。
ルーテシアのマニュアル車は2020年までのモデルが輸入されています。
中古車価格は80万円前後の価格帯で、年式による価格差が少ないのが特徴です。
なお、ルノー スポールは旧モデルでも人気で、13年以上経過しても150万円前後で販売されています。
プジョー 208
コンパクトボディに広い室内を持つ208は、3ドアと5ドアのボディバリエーションを持つプジョーのエントリーモデルです。
「猫足」と呼ばれるプジョーの足回りは、路面に吸い付くようなスポーティな走りが特徴で、エントリーモデルの「アリュール」「スタイル」も変わらぬ走りが楽しめます。
5速オートマチックの「ETG5」は、5速マニュアルトランスミッションを自動変速するシステムです。
発進時の半クラッチ操作も自動で行ってくれますが、ストップ&ゴーの多い日本の市街地での走行は苦手です。
4速オートマチック車はAL4と呼ばれるオートマチック車でトラブルを回避するため、マニュアル車がよく選ばれます。
プジョー 208のマニュアル車は2020年8月のモデルまで輸入されています。
中古車価格はGTiは100万円から150万円、GTi以外のモデルは50万円から100万円の価格帯となっています。
シトロエン DS4
シトロエンのプレミアムブランドとして登場したDSブランドのひとつがDS4です。
5ドアモデルながらクーペのような美しいボディラインを持ち、インテリアもオシャレで上質さを兼ね備えています。
6速オートマチックの「6EGS」は、6速マニュアルトランスミッションを自動変速するシステムで、操作はステアリングコラムにあるレバーで操作します。乗り慣れるまでコツが必要です。
シンプル構造の6速マニュアル車が人気ですが、台数が少なく中古車市場で人気です。
DS4のマニュアル車は2015年2月までのモデルが輸入されています。
中古車価格は40万円から70万円の価格帯で、年式による価格差が少ないのが特徴です。
ボディカラーによって価格差があり、赤系はお求めやすく、白系は高値傾向です。
フランス車のマニュアル車は高値で売却
フランス車のマニュアル車は、多くのユーザーに売れるわけではありませんが、フランス車に乗りたくてマニュアル車を探しているユーザーは一定数います。
マニュアル車は機械や電気系のトラブルが少ないため、あまり底値になることはありません。
マニュアル車が少なくなった現在では、却って高値での売却も期待できます。
まとめ
最新のフランス車は、オートマチックのみのモデルがほとんどのため、信頼性の高い高年式のマニュアル車を探すなら今がチャンスです。
人気のスポーツモデルや走行距離の少ないモデルは、欲しい人に行き渡り、在庫が枯渇する前に手に入れましょう。
フランス車のマニュアル車にお乗りの方は、マニュアル車が少なくなってきた今、予想よりも高値で売却できる可能性が高くなっています。