知っておきたい外車のよくあるトラブル一覧
「外車って壊れやすいでしょう?」なんてつい10年前までは当たり前のように言われていました。そして、いまもなおそう思っている人も少なくありません。
しかしながら、いまはほぼ国産車と変わりないと言ってもいいでしょう。結局のところ、壊れる車は国産車、外車、関係ないこともしばしばです。
ですが、特有の持病を患っている外車も少なからずあります。
この記事では、そんな外車のよくあるトラブルを紹介します。
「外車が壊れやすい」というイメージは間違い
国産車に乗り慣れている人は、外車ってすぐ壊れるよね。というイメージを持つ人もまだいることでしょう。
この章ではなぜ「外車が壊れやすい」と思われてしまうのか、その原因を3つに分けて紹介します。
【原因1】母数が少ないので故障が目立つだけ?
単純な話にはなりますが、日本における外車の割合の影響が考えられます。
例えば2024年の上半期(4月〜9月)までの販売台数(乗用車のみ)を見ても、国産車は111万1,228台に対して、外車の新規販売台数は10万8,696台と数字で見ても外車の割合の低さは明らかです。
ですので、目立つ存在の外車が故障するとそれだけ悪目立ちしてしまうのも頷けます。実際に、国産車も故障とまではいかなくてもリコールが頻繁に行われてます。
それに、もちろん国産車も故障することはありますよね。
世間ではイタフラ車を筆頭に外車は壊れやすいと言われていますが、実際のところ故障割合は国産車と比べて圧倒的に多いというわけではありません。
特にドイツ車は案外壊れにくいのですが、日本におけるドイツ車好きの割合が多いため、故障の話もよく出るのかもしれません。
参考:車種別登録台数 一般社団法人日本自動車販売協会連合会
参考:輸入車新規登録台数 日本自動車輸入組合
【原因2】町の整備工場では病気の兆候を見抜けないことも
外車オーナーの読者の方だったら、もしかしたら町の整備工場への入庫を断られた経験がある人もいるかもしれません。
筆者も、ショッピングモールに入る大きなカー用品店でのバッテリー交換を断られた経験があります。
整備工場での外車の経験が少なく対応できないため、そのようにお断りされることが多いのですが、なかには対応してもらえる整備工場もあるでしょう。
ですが、外車専門や外車に特化しているような工場でない場合、外車特有の持病を見抜けない可能性があります。
やはり車種やメーカーによって、摩耗しやすい箇所やよく見ておいた方がいい箇所というものはあります。
そういった箇所を見逃してしまうと、国産車では故障する前に対策が取れたとしても、外車の場合そのまま乗り続けてしまい故障してしまうのです。
【原因3】日本の高温多湿や環境も一因
外車が壊れやすい、と言われる原因の1つに日本の環境が挙げられます。それは高温多湿な気候と海に囲まれた島国だから。
とくに高温多湿な気候では、配線やコネクタなどに湿気が入り込み電気系統への影響があります。
さらにゴムやプラスチック部分が高温により劣化してしまうなど、外車のテスト環境よりも過酷な気候により劣化が早まってしまう部分もあるのです。
ほかにも沿岸部の車は「塩害」に注意しなければなりません。海水を含んだ風に長期間晒されるとどうしてもサビが進行してしまいます。塩害は国産車にももちろん起こりうる事象ですが、外車はさらに対策が必要な場合があります。
よくあるトラブル一覧
前述した通り、国産車だからトラブルにあいにくいという訳ではなく、外車も国産車も平等に壊れるときは壊れてしまいます。
しかし、そのなかでも外車特有のトラブルというのは少なからず存在します。
この章では、外車によくあるトラブル、故障についての一例を筆者の経験も含めて紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
【トラブル1】すぐにつくチェックランプ
インパネにチェックランプが点灯すると、国産車であれば焦ることもあるかもしれません。
すぐに走行できなくなるのではないか、何か重大な問題が起きているのではないか、と最寄りのディーラーやガソリンスタンドにとりあえず走らせる人もいるでしょう。
しかし外車の場合、乗り慣れれば乗り慣れるほど「チェックランプ付いてるな、まあ、走るし」くらいの感覚になりがちです。
とくにBMWやBMWミニはすぐチェックランプが点くことで有名です。
もちろん、点灯した時点で何かしらの問題があるので専門店に持ち込むべきでしょう。
しかし、持ち込んだ先で「チェックランプ点灯自体が故障だったのでランプ消しときましたね〜」なんて対応をされることもしばしば。
それだけ安全マージンを広くとっている、と言い換えることもできますが、外車はとくにチェックランプが点灯しやすいのです。
【トラブル2】いつまでも続くと思うな電装系
チェックランプと似た感じにはなりますが、外車は電装系トラブルも多いです。
サイドミラーの調節・格納ができなくなるなど小さなトラブルから、エンジン始動不良などの大きなものまで内容はさまざまです。
筆者もドイツ車に乗っている際、助手席側のパワーウインドウが完全に壊れてしまい、開けようとすると窓がスコーンと落ちてしまう自体に。
結局、助手席側窓は開かずの窓のままサヨナラした経験があります。
前述の通り、高温多湿な日本ではどうしても摩耗が激しくなります。
カビやサビなどにも細心の注意を払わない限り、外車の電装系トラブルは避けられない事象かもしれません。
【トラブル3】真夏に壊れるエアコン
最近の外車ではだいぶ少なくなってきたトラブルですが、エアコン系も以前は弱いと言われてきました。
とくに夏もそこまで暑くならない国からやってきた外車は、日本の高温多湿な夏に耐えきれずエアコンプレッサーや冷却システムへの負荷が大きくかかってしまうのです。
それにより、夏場に突然エアコンがかからなくなったり、筆者が過去に乗っていたサーブ95のように真夏の夜の高速道路上でコンプレッサーから火が出ることになりかねません(90年代の話ですが)
近年夏の暑さも尋常じゃないものになり、窓を開けて走るだけでは足りないぐらいなので、エアコンの調子は常に気をつけたいですね。
【トラブル4】気づけば真っ黒なホイール
故障とまでは行きませんが、外車の特徴として「ホイールが黒くなる」現象がよく挙げられます。
その理由はズバリ、ブレーキパッドの削りかす=ブレーキダストにあります。
国産車は、長く乗ることを考えてブレーキパッドの摩耗が少ないように作られているのに比べて、外車はブレーキパッドの性能を重視しています。そのため、どうしてもダストが増えてしまい、ホイールが高頻度で真っ黒になってしまうのです。
そうなると、国産車のように長く乗ることを考えてくれたらいいのに!と思うのも仕方がありませんが、こればっかりは各国の道路事情が影響しています。
日本では最高時速は120km/hなのに対して、ドイツの有名なアウトバーンでは制限速度がない区域も。となると、当然外車はブレーキの制動を重視するのでブレーキパッドの作りも変わってくるのです。
仕方がないとはいえ、頻繁に高頻度でホイールを洗車しないと見栄えが悪くなってしまうことは覚悟しておきましょう。
その他のよくあるトラブル
このほかの外車によくあるトラブルとして、以下の症状があります。
- ナビシステムが突然つかなくなってしまう
- ナビ上の自車が行方不明、もしくは素っ頓狂なところを走行している
- バッテリーが頻繁にあがってしまう
- ブッシュの消耗が激しく足回りに異変が生じる
- イグニッションコイルの劣化によりアクセル操作やエンジン挙動に違和感が起きる
ほかにも、バッグカメラがつかなくなる、などの電装系トラブルから経年劣化による雨漏りなど物理的なトラブルまで。
もちろん外車が特別壊れやすい、という訳ではないと何度かお伝えしてきましたが、それでも国産車よりいくらか気を遣ってあげなきゃいけないのは事実かもしれませんね。
まとめ
「外車って壊れやすいからなァ」と敬遠されることから、外車によくあるトラブルとなぜ外車は壊れやすいと言われるのか、について紹介しました。
近年では外車も国産車も本当に故障が少なくなりました。ですが、結論として国産車も外車も壊れるときは壊れます。
そして、外車に関しては気候や環境などでほんの少しだけ故障の可能性が国産車に比べて高まることに留意してあげた方がよいでしょう。
故障前提で購入するのはナンセンスですが、外車の手のかかる部分に対して「じゃじゃ馬娘だな」と楽しむ余裕も必要かもしれませんね。